2月28日夜から、日本原水協全国集会関連行事として、ビキニ水爆被災・第五福竜丸 ドキュメンタリー映画「西から昇った太陽」特別試写会が行われました。
この映画の監督はキース・レイミンクというアメリカ人青年です。
キース監督は上映前の挨拶と上映後の質疑応答でこの映画を制作したきっかけについて「自分の国がおこなった怖ろしい行為を知り驚いた。周りのアメリカ人もほとんどの人びとが知らない。核兵器が長期間に渡って及ぼす影響について伝えたかった」と語りました。
制作は簡単ではなく、日本とアメリカを行き来して取材を重ね、制作費の問題でも、他の仕事をしながら稼いだり身内に借金をしながら4年かけてやっと完成したとのこと。
映画は同じくアメリカ人青年が描いたアニメーションと、実際の乗組員への実写インタビュー映像を組み合わせたものです。
アメリカ人の視点で作られているので、1954年当時の乗組員の生活情景などは実際のイメージと少し違いますが、それはそれでユニークでもあり、第五福竜丸乗組員が経験した事実とその後の苦悩などが丁寧に描かれ、何よりも伝えたいという一生懸命さが伝わってくるものでした。
制作にあたっての資金繰りで、いくつもの補助金申請をしたそうですが、アメリカ政府や日本が関わっている制度はどれも通らなかったとか。
それでもこの日本初の上映会に先立ちアメリカでおこなった上映会には、いずれも会場いっぱいの人が鑑賞に訪れ、自国がビキニ環礁でおこなっていた水爆実験や日本の漁船が被災していたこと、その後の乗組員の悲劇を知り大変驚き、強い関心を寄せていたそうです。
先日25日、第五福竜丸乗組員で、長年にわたり事件や自分に起こった出来事を語り続けてくれた見崎進さんが92歳でお亡くなりになりました。
被災から65年、癌などで闘病しながら、ビキニ環礁で行われていた水爆実験の事実とその後の人生について語り続けている元乗組員のみなさんの活動も年々厳しくなっています。
映画の中には、まだお元気な頃に大きな声で語る見崎さん、隣で見崎さんを支え続けた奥様、大石さん、池田さんなど元乗組員の生のインタビュー映像が収録されており大変貴重です。
「西から昇った太陽」は今年5月以降にDVD貸し出しを開始する予定だそうで、自主上映会開催も可能です。