9月4日に県商連も加盟する静岡県憲法共同センター主催の「ジェンダー問題学習会」が開かれました。
講演は県商連の企画ですでに2回もお話しいただいた、歯科医の山田美香先生。
身体の性は「男性」として生まれながらも様々な経験を経て、女性として生きることが認められたこれまでの人生についてお話されました。
幼少期から感じていた性別違和と周りからの壮絶ないじめ、特異の目と中傷が絶えない中でもスカートを履き通った大学時代の話から職場での排除の経験など、哀しい苦労の連続の末、国内2例目の性別適合手術(男性から女性では国内1例目)を受け、その後戸籍変更を実現した経緯まで、山田先生は顔と名前を出して講演活動を行うなど堂々と発信されています。
気の遠くなるような長い期間の偏見とのたたかいと挑戦、そして勇気ある行動には何度聴いても頭が下がる思いであり、感動を覚えます。
今年還暦を迎えたという山田先生は、「『やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい』という思いで生きてきた」と語り、自分の人生に悔いがないとも仰いました。
質疑で「性別適合手術を受け、戸籍の性別変更も実現した今でもなお、生きづらさを感じる場面はありますか?」という質問に、先生はお母様の介護等にかかわり行政の職員と電話で話すことが多々あり、その際声のトーンだけで「息子さん」と呼ばれることに憤りや悲しみを感じると話されました。
会場参加者、WEB参加者双方から質問や感想が相次ぎ、「自分もジェンダーマイノリティの一人だ」という方から、職場や周りの人とのやり取りの中で生じる誤解や誤った認識による苦悩なども語られました。
山田先生のお話と参加者との質疑の中で、誰もが持っている思い込みと決めつけが、気づかないうちに相手を傷つけ、多くは社会通念上的になっている事柄から「それは嫌だ」と声を上げることもできていない人がいる。それはジェンダーマイノリティや社会的に少数派の人たちだけでなく、「普通」と思っている誰もが持っていることだということがハッキリと見えてきました。
「普通」は誰が決めたのか、「普通」とは何なのか、当たり前に過ごす中でほとんど気づかないことばかりですが、真のジェンダー平等社会のためには時折立ち止まって考えることが必要だと感じる学習会でした。
参加者は会場に19人、WEBで16ヵ所でした。コロナ禍でなければもっと多くの人が会場に足を運び、ぜひ多くの人に聴いていただきたいお話、有意義な学習会でした。