11月1日、県商連も参加する2021年国民大運動静岡県実行委員会の県交渉(懇談)が行われ、共闘する団体の代表者と共に県内民商・県連からも19人が参加しました。鈴木せつ子県議(日本共産党)も同席しました。
懇談に先立ち県商連は、まん延防止等重点措置〜緊急事態宣言下に錯綜した誤った情報により、飲食店経営者が時短営業や休業の判断基準がわからず非常に混乱したことや、ウッドショック等の問題、テイクアウト事業助成金の創設など7項目の要望を出してありました。
休業協力金は期間中1日でも店を開けると対象から外れてしまうという中、情報は主に静岡県のWEBサイトで配信されました。その情報だけで判断がつかなかった事業者は、人員が足りずなかなか繋がらないコールセンターに何度も電話をかけるも繋がらない状態が続き、ましてやインターネット環境がない高齢の経営者などはさらに蚊帳の外という状態でした。
結局コールセンターに繋がらずWEBサイトの情報だけで休業の判断ができなかった人、コールセンターの誤った説明により店を開けてしまった人、少なくない人が休業協力金を1円も受け取れないままになっています。
「危機管理部」との懇談では、「そこに救済措置はないのか?せめてコールセンターの誤った説明を受けた人に対し、コールセンター記録から補償することができないか?」と訊ねましたが、「大変ご迷惑をかけたことは重々承知しているが補償をすることはできない。今回の事態を重く捉え今後このようなことがないように努める」との回答。「今後また宣言を出す際には十分注意する」と言っても、「今度また」までに今経営が追い詰められている業者の営業が持ち堪えるかどうかまで来ていると訴えるも、代替措置は検討段階にもないとのことでした。
しかし前進面もあります。「まん延防止等重点措置」の段階で民商・県商連から鈴木せつ子県議を通じ「コールセンターの対応改善」を何度も要請したことから、「当初50人だった人員が100人に増員され、誤った認識についても想定される質問に対する正しい回答を徹底した。これからも気づいたことがあればどんどん意見を言ってほしい」と職員からの発言がありました。
緊急事態宣言時、実際にコールセンターは途中からは誤った回答はなくなり、担当者自らが名前を名乗るようになりました。そして県の関連部局からは県商連に新しい情報を逐一連絡くれるようになりました。こうした姿勢を今後もお互い保ちつつ、こちらは常にアンテナを高く危機を想定して運動にしていくことが大切です。
危機管理部にはこのほか、「過去に時短要請協力金を払っている事業者には、その他の協力金申請から支払いまでを簡素化し早急に支給すること」を求めました。これについては「支給した事業者をデータベース化しているので、今後はより早く事業者に届くようされていくし、させていきます」と回答されました。
午後の経済産業部には、飲食業者の誰もが参入しやすい「(仮)テイクアウト事業参入助成金」の創設などを求めました。しかし担当職員からは「県の中小企業デジタル化・業態転換等促進事業補助金の活用を」と繰り返されたため、「デジタル化と言っても、パソコンはおろかスマートフォンすら利用していない個人事業者は少なくない。高齢の事業者にECサイト立ち上げや、テイクアウトアプリの導入などと言っても分からない」と訴えましたが、これからの商売はデジタル化が当たり前とばかりに既存制度の活用ばかり主張されたため、「では、その既存制度の中でスマホもパソコンも利用していない、全く分からないという事業者が相談した際は親身になって相談に乗ってくれるのか」と訊ねたところ、少し躊躇した後に「相談に乗る」と回答しました。
またこの間、人との接触に制限を加えたことは飲食店だけでなく、理美容業、運転代行、タクシーなど数えきれない業種の事業者を追い詰めています。そうしたところへの具体的支援の要請については「県が9月に創設した『中小企業等応援金』をぜひ活用してほしい」との回答でした。
しかしこの応援金は、今年8月か9月と昨年同時期と比較し30~50%の売上減が対象で、中小法人10万円、個人事業者5万円を一度きりの給付です。もともと売上が少ない事業者はたった10%落ちただけでも死活問題で、国の給付金・支援金の対象にもならず取り残されたままとなっています。
そういう点を今後も県に強く訴えていくことと、この応援金は課税対象のため「たとえ少額でも税金が増えてしまうなら…」と申請をためらう事業者もいることから、支援策として適切かどうかについても業者の本音の部分をもっと伝えることが重要だと感じました。
その他、健康福祉部に対しては「国保の傷病手当について県内の市町により、申告の青白の違いで支給決定を出さない問題の早急な是正」を求めています。参加者が具体的な市町の名前を出して訴えると、担当者は「市の国保課にしっかり指導する」と約束しました。
この日、参加した民商関係者は「久しぶり!」「元気だった?」と隙間時間に声を掛け合いながら、自分の民商の会員の状況を出し合ったり、困難の解決策などを話し合ったりしていました。コロナで分断されつつあった仲間どうし、統一する目的を忘れていない姿を垣間見ることができました。
民商は業者の経営とくらしを守るための運動体です。毎年のことですが民商・県商連の要求に対し、今回もすぐに解決した内容はありません。しかしこうした機会を存分に生かし業者の実態を伝え、既存の制度や枠組みを少しでも変化させていくことが業者の経営を守ることに繋がります。