9月26日、静商連も実行委員として参加する「第24回静岡地方自治研究集会」が開催されました。今年はコロナ対策のため参加者それぞれがZOOM参加のWEB開催でした。(全体会・分科会とも一部会場参加あり)
午前中は金子勝・立教大学教授による「コロナショックで地域経済はどうなる~分散革命とは何か」というテーマの記念講演。
金子教授は冒頭、安倍政権をそのまま継承路線の菅新政権への支持率の高さについて「コロナ対策になっていないがコロナ対策として支持している、オリンピックありき、たかがコロナという楽観論、国民の自粛疲れや経済の行き詰まりからのポジティブな動きとして見ている感がある」と指摘しました。
経済について、現在日銀の貸付金が異常に増えており53兆円を銀行・金融機関にバラまいている状態「出口のないネズミ講」で、この先の地銀の激減の可能性なども指摘しました。
このまま進むと、銀行の不良債権など銀行への不信が高まり、金融システム崩壊、中小企業への貸し渋りが進み、取引相手のお互いが信用できず経済の萎縮を招く(カウンターパーティーリスク)可能性も語りました。
現在、日本のPCR検査の実態は世界200カ国中154位、カタールやバングラデシュと競っている状態で先進国とは言えず、早急に徹底的なPCR検査体制を取り、無症状者の隔離でウイルスを封じ込め、疑心暗鬼にソーシャルディスタンスにこだわらないこと。
また、新しい生活様式ではなく昔の生活に戻る「分散革命」、全国14カ所で進められているご当地電力の推進など。そういったものすべてが今後の経済再生に関わってくると話されました。
午後は分科会に分かれ、県商連も「3.コロナで見えてきた、協働でつくる地域循環型経済とは」を担当しました。御殿場市議や自治体職員も交え、コロナ禍での自分の住む市町の状態や中小零細業者の現状について意見交換し、助言者の菊池智博・島田市産業支援センター長から支援センターの取り組みなどの紹介や、支援を受けた企業の支援前・支援後など大変興味深い話をしていただきました。
菊池センター長は「支援センターには経営に係る様々な問題、金融問題などで年間約500人の事業者が訪れている。コロナ禍で人と人との交流が遮断され経済がストップしたことで、人との交流は経済に不可欠だと改めて思う。今後コロナが収束しても、一度『巣ごもり』を経験した以上、完全に以前のようには戻らないと思う」と語り、コロナ後の地域経済・中小零細業者の経営立て直しには、事業者自らの挑戦力と発想力にかかっていると話されました。
分科会に参加した県商連・大石会長も、自身の商売のなかで気にかけている後継者問題、エコ自動車の開発、高齢化が進む地域でどう暮らし事業者として貢献していくかについて質問と問題提起。
菊池センター長は「事業者のみなさんはとてもまじめに仕事を頑張ってきた人ばかりだが、うちのセンターのようなところは敷居が高いように思われなかなか足を踏み出さない人が多いが、いつでも気軽に声を掛けてほしい」と呼びかけました。
また、「役所の中で中小企業支援を考えていた時と今は少し違う。事業者の求める支援と行政が考える支援にズレがあることも実感している」とも語りました。
分科会に参加した2人の若手自治体職員は「我々が支援と考え実行していることが、果たして受ける側にとって本当に支援になっているのかを考えさせられた」、「実は私の両親も自営業で、大変とは聞くがあまり深く考えたことが無かった。この分科会に参加していろいろな話を聴き、事業者の状況と気持ち、自治体の関わり方や必要なこと、今まで考えたこともないようなことがたくさん見えてきた。参加して良かった」とそれぞれ感想を語ってくれました。