10月19日付の「税のしるべ」に、「日本商工会議所の調べでは課税業者の約17%が免税業者との取引を見直す意向」との記事が掲載されました。
危惧していた通りの結果であり、今後はこの数字も増えていくと思われます。
現在、売上1000万円以下の事業者は、消費税免税となっています。断片的なテレビの報道やこれまでの政治家からの発言により、「消費者から消費税を預かっているのになぜ免税?」と消費者から疑問が寄せられますが、中小零細業者の多くは元請との力関係で下請け価格に消費税を転嫁したくても、既に価格が決められていたり、支払いの段階で消費税分をカットされたり、送受金の際、金融機関で掛かる手数料分を引かれたりしています。
そのため売上(当初請求していた金額)にかかる消費税が回収できず、立場の弱い中小零細業者が身銭を切り払っているケースが非常に多いです。
わずかな負担でも1年分を合計すれば、事業主の生活費に食い込むなどで消費税転嫁問題で頭を悩ます中小零細業者が後を絶ちません。
小売でも、本来は例えばひとつの商品を150円で販売しなければ、わずかな利益も消費税支払い分も得られない、しかし近隣の量販店に流れるお客さんを食い止めるためには、自分の店でも価格を下げなければ営業自体が成り立たないことから、単価を100~120円くらいに下げ利益を最小限に抑えて対応するなども日常茶飯事です。
そういう中で、現在年間売上1000万円に満たない業者が取引から排除されるとしたら、自ら課税業者となり仕事を得るしか選択肢がなくなってしまいます。
課税業者同士しか取引ができないとしたら、実質的な免税点撤廃とも言えます。
消費税のしくみはそもそも所得が低い人に負担が重い非常に逆進性の強いものですが、昨年10月の10%への増税、そして複数税率・インボイス制度導入で、さらに逆進性が強く、弱い立場の業者を淘汰するような仕組みとなりました。
インボイス制度(課税業者しか発行できない適格請求書)本格導入は、2023年10月です。一刻も早いインボイス制度廃止のため、署名をさらに広めましょう。