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最賃引き上げへの協働をどう進めるか 国民春闘静岡県共闘会議総会&県評旗びらき

1月8日「国民春闘静岡県共闘会議総会&静岡県評旗びらき」が開かれ、2022年国民春闘の幕開けとして学習会も行われました。県連事務局長・瀬川が「中小企業・小規模事業者の現状 最賃引き上げへの協働をどう進めるか」と題して講演しました。

相次ぐ消費税増税に加え新型コロナ感染拡大の繰り返しで、中小業者および労働者の不安定な状況が続き消費も低迷しています。国民の安定した暮らしと経済活性化のためには最低賃金の引き上げが叫ばれています。講演は現在の中小業者が置かれる状況と、その立場から見た最低賃金の引き上げ実現への課題についてお話しました。

2020年4月時点の国内企業数は421万社ですが、中小企業と定義づけられている企業が国内419.8万社と99.7%を占めています。そして中小企業の中にも細かくは、製造・建設・運輸で社員数20人以下、卸売業・サービス業・小売業で社員数5人以下の企業は「小規模企業・事業所」と位置付けられます。

県内の事業所数の合計は2016年現在で172,031事業所(大企業含まず)ありますが、そのうち従業員1~4人の事業所は計

101,819で59.2%、従業員5人の事業所は計32,485で、従業員数1~9人の事業所だけで合計134,304で78%になります。

つまり、中小企業のうち8割近くが従業員9人以下の小規模事業所ということで、こうした小さな規模の事業所で働く労働者も多く、ひいては賃金がなかなか上がらないということは、資金力の弱い小規模企業を最優先に、そして中小企業全体に賃上げが実現できるような政策的支援が必要です。

昨年、ある求人サービス企業が年代別平均年収から、20~50代の労働者を1人雇うごとにどれだけの社会保険料の事業者負担が発生するのかを試算し公表しました。それによると、20代の労働者に平均年間47万円、30代で60万円、40代で74万円、50代以上だと1人雇用するごとに100万円近くの社会保険料負担が発生します。こうした背景が中小企業の賃上げや底上げ、雇用の増加を阻む原因になっています。

少し前に「45歳定年」という話が出て驚きましたが、これだけ負担が重いと企業は経験を積み給与が高くなった社員を手放し、外注化や業務委託契約を結ぶなど終身雇用制度自体が崩壊しかねません。

現在開かれている国会では、令和4年度税制改正大綱についても審議がされますが、その中には「賃上げ促進税制」として「雇用者への給与等支給額の増加額」のうち大企業に最大30%、中小企業に最大40%の税額控除も盛り込まれています。

果たしてこれが本当に中小企業と労働者双方を救うものになるのでしょうか。政府はコロナ前の2019年秋に消費税率10%に引き上げ、コロナ禍で営業やくらしにあえぐ中小業者や労働者に目を向けず声を聴こうともしません。中小企業の社会保険料軽減もしくは助成制度など直接支援を進めなければ、雇用促進、賃上げは実現しません。中小企業・小規模事業者にしっかり行き渡る支援施策を要求し、労働者と中小企業・小規模事業者が同じ目線で団結し協働の取り組みをしていくことが大切です。