全商連「一時・月次支援金『不備メール』対策交流会」

「不備メール」突破で中小業者の経営とくらしを守るために

 11月26日夜、全商連主催の「一時・月次支援金『不備メール』対策交流会」がオンラインで開かれました。

 交流に先立ち、この間「不備メール」が何度も届きなかなか申請が通らない中、諦めず求められる資料を提出し続けた末に支給決定となった方々より、その経緯などが報告されました。

 東京・新宿の小売業の女性は「不備の解消にあたり特徴的なことや決め手となる事はなく、ただ何度も何度も届く不備メールに諦めず対応しただけなので『なぜ今まで不備として扱われたのか』と思うこともある。理不尽だと思う内容もあり悔しい気持ちもあったが、とにかく丁寧に返していた」

 大阪の民商事務局員は「何が決めてか分からない。4月に初めて申請を出し15回の不備メール、指摘に対し出さなかった資料は一つもなく半年かかって申請が通った。出しても出しても新しいことを指摘されるので会員さんは『俺もうやめる』と言い出し私も心が折れそうになった。しかし大商連からの励ましなどを受け本人とも話し合いながら続けてきた。全く同じ業態で販売している物も同じ人がすんなり通ったこともあり、理由が全く分からない」とそれぞれ語りました。

 反対に現在も「不備ループ」が続いているという沖縄・講師業の女性は「これまでに10回不備メールが届いている。どう対応したら通るのか分からないので7,8回目からコールセンターの人に『どうすれば?こうすれば?』と直接たずねながら新たな資料を提出したがそれすら書類不備となり、自宅に長文の文書が2回届いた。講師の仕事は交通費などの経費を差し引き、月に一括で振り込まれるため説明をつけて資料を提出したが、担当者から『月に1日しか働いていないのか』と言われた。改めて説明したところ今度は『3年分の講師報酬と経費を1件ずつ全てエクセル形式でまとめ送る』よう指示された。3年も遡り1件ずつなど指定された期日までに間に合わないと思いとてもショックを受けたことに加え、さらに届いたメールに期日が12/3迄(約1週間後)と書かれており心が折れてしまいそう」と語りました。

 オンライン交流会参加の全国の会員や事務局員からも経験が出されましたが、いずれも「不備ループ」が突然解消された決め手は不明で、とにかく諦めず粘り強く対応したとのことです。

 また、参加していた他県の事務局員は「会員が中小企業庁の担当者から『(申請者が)コールセンターの人に強い口調で言うので、みんなメンタルがやられている』と言われ、『民商に相談したのが間違っていた』という雰囲気になり、この不備ループでこれまで築いてきた信頼関係が壊れかねない事態にまでなった。しかしその後、営業実態の証明でたった一種類の経費を2年分書き出しただけで審査が通った。(コールセンターが)もっと早く言ってくれればこんなに悩み辛い思いをしなくてよかったはず。コールセンターからは『不備ループなんてない、勝手な言い分だ』と言われた」と悔しさを滲ませながら報告しました。

 そして「コロナ禍の中小業者の営業を守り支援するはずの支援金でありながら、真逆の出さない方向の審査に変化してしまっているように感じてしまう」という当事者の言葉がとても切なく印象的でした。

 決め手となる対策は明らかになりませんでしたが、県内民商が関わる申請の経験と情報を出し合い、諦めかけている仲間がいたら、まずは一緒に粘り強く挑戦する気持ちを伝えることが大切です。

県青協オンラインセミナー第2弾「何が違うの?個人事業と法人」

 11月24日、県青協オンラインセミナー第2弾「何が違うの?個人事業と法人」を開催しました。

 業者青年の「法人成りのメリットとデメリット、個人事業と具体的に何が違うのかを知りたい」という要求が多く寄せられることから、個人事業と法人の形態について比較するとともに、一定規模の個人と法人で税負担率がどのくらい違ってくるのかなど、講師の桒原宣之県青協事務局幹事(藤枝)が説明しました。

 その後、桒原事務局所属の藤枝民商会員で、ここ数年間に法人成りした青年業者2人をパネリストに、個人事業から法人になった当事者としての感想や意見を話してもらいました。

「実際に法人成りをして・・・」

2人のパネリストから~自己紹介と質問への回答をまとめました

 杉本隼人さん(38歳・建設)

 消費税インボイスの問題をきっかけに7月から準備を進め9月に法人設立しました。法人成りは銀行から社会保険事務所、司法書士事務所など事務手続きで行くことが多く非常に大変でした。

 法人にしたことで消費税が2年免除とはいっても、その先どうなるか金銭面では不安もあるが、個人の時はお金を自由に使っていたのが、会社と個人のお金をハッキリ分けることで商売の利益がどのくらいあるのか経費を細かくチェックするようになり、個人的にも給料制で安定したことは良いことだと思う。

 法人成りとともに資材を買い揃え、受注を増やすよう努力をしているが資金繰りは大変。でも「消費税免除の2年間でどれだけ会社を成長させられるか」といつも意識して努力していきたい。

 西野匡彦さん(46歳・木工品製造)

 8年前に父からの事業承継をきっかけに法人設立しました。当時、取引先から「やっと法人にしたね」と言われ、機械屋さんからは「木工業界に若い人が入ってきてくれて嬉しい」と言ってもらえた。

 個人の時に国民健康保険や国民年金を自分の所得から払うのはやはり大変だったので、自分にとって社会保険や給与面でメリットを感じる。

 記帳の面でも、個人の時は「確定申告に間に合えばいい」という感じだったが、今は売上や材料費を対前年比や月別で帳面をよく見るようになった。ただ現在までに利益が出ていない状態なので節税対策についてよく考えている。

 事業継承と法人成りをする前は自分の意思で決められなかったことが、今は代表取締役として「こうしようと思うけれどどうだろう」と相談を持ち掛ける立場になった。設立当時を思い出すと、取り引き業者が増えた。今、担い手がいない業種が多いが、法人化することで良い人材を集めやすくなるのではないかと思う。

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 参加者から2人の経験と自分の商売を重ね合わせた発言や質問が相次ぎ、活発なやりとりが続きました。

 終了後、「個人事業と法人それぞれの信用度や資金繰りの比較が良かった」「実際に法人成りした2人のリアルな話を聴くことができてとても良かった」「家族経営で社保加入など、自分ではこれまでデメリットだと感じていたことが、メリットに感じられている話がとても参考になった」などの感想が寄せられました。

 オンラインセミナーには7民商から26人が参加。現在は会社員でこれから開業を考えている青年も参加、そして現在は両親の会社で働き来年には独立開業を目指している青年は「全く知らなかったことを学習できて嬉しい、今後もがっつり相談に乗ってください」と民商に期待を寄せました。

県内自治体へ「消費税インボイスの実施中止を求める」国への意見書提出を求める請願・陳情

2023年10月の本格実施に向け今年10月1日から「インボイスの登録申請」が始まっています。

静岡県商連は全国の民商・県連の取り組みに呼応し、全県一斉「消費税インボイスの実施中止を求める」国への意見書提出を求める請願(陳情)に取り組んでいます。

11/22現在までに計20市町に請願書(陳情書)を届けています。

伊東民商は伊東市議会に陳情書を提出、11月24日の議会運営委員会で諮られる予定、沼津民商には陳情書を届けた御殿場市から「議長預かりとする」という書面が届きました。沼津民商近隣3市3町の日本共産党議員が近々議員学習会を開く予定とのことです。

清水民商と静岡民商は10月議会終了間際に静岡市に合同で要望書として提出。11月に改めて請願書を提出する予定です。

小笠・掛川民商は大石秀之会長と川田事務局長の2人で、掛川市・菊川市・御前崎市を回り陳情書を直接届けました。

三島民商、藤枝民商、磐田民商、浜名民商も地元自治体に要望書、陳情書の形で「インボイス中止」を求める書面を届けています。

浜松市に対しては浜松民商、浜北民商、天竜民商の3民商が合同で会派まわりを行ったうえ、10月27日に浜松市議会議長と懇談し請願書を提出しました。会派まわりや懇談では「民商からの請願はなかなか通らない」という言葉も出されました。

浜松民商の柴田事務局長は「なぜ詳しい話も聴かずに拒否しようとするのか訳が分からず悔しい」と語りながらも、「大事なのは業者の気持ちを議員に知ってもらうこと、商工会議所やその他の経済団体も『凍結・見直し・反対』を言っているのだから、民商会員の中小業者の意見も堂々と伝えていきたい」と話しています。

富士宮民商は11月11日に市議会議長に陳情書を提出、今後12月に産業都市委員会審査会で趣旨説明、その後12月10日の本会議で採決が行われる予定です。富士宮民商の陳情書提出の様子は岳南朝日新聞に写真付きで掲載されました。小野田事務局長は趣旨説明に向け、商工会議所の「導入凍結」や青色申告会の「取りやめ」など、他団体の考え方も含め民商としてインボイス制度廃止を主張する根拠や、インボイス実施で富士宮市の経済にどのような影響が考えられるかの想定など準備を進めています。

インボイスは事業者ですらまだ理解しきれず、今後の対応を考えるまでに至っていない状況です。

事業者でない人たちや自治体議員それぞれに理解してもらうまでには時間がかかり苦労もありますが、中小業者の経営に負担を増やし、非課税事業者の営業を破壊しかねない制度をこのまま受け入れるわけにはいきません。

今後も全県民商で連携を取り進めていきます。

全青協第46回定期総会 県青協昨年総会時現勢突破、オンラインセミナーについて報告

11月21日、全商連青年部協議会の第46回定期総会がWEBで開催されました。

総会方針はアニメーションを交えたパワーポイント画面で表示され、文章読み上げより分かりやすく、代議員の杉山翔一さん(沼津・自動車整備)は「全青協結成三つの意義」について「今までなんとなく理解しているようでよく分かっていなかったが、画面を見ながら説明を聴き再確認できた。沼津民商は県内でも部員数が多いが活発に動いたり集まったりしているのはほんの数人、今後はより多くの部員が参加してくれるような活動がしたい」と語りました。

全国の業者青年からの報告では「一人親方労災加入目的の民商入会が多く、その流れで業者青年も増えていったが、現場が終わると民商退会してしまう人もいる。また青年部に入部しても集まりが一度も無いために部員であることすら分かっていない人もいる。全ての民商でせっかく入ってくれた青年とどう交流を持っていくかが今後の課題(愛媛・新居浜)」、「この間、コロナに負けず営業を伸ばそう!と記帳申告学習会を開いたら15人が参加してくれ、自主計算について意見を交わすことができた。その他、業者の先輩に話を聴く企画やオンライン飲み会も開きとても盛り上がった。インスタグラムを勉強し異業種交流、自分の使っている工具やお店の写真などをアップしハッシュタグの付け方、どうしたら『イイネ』が付くのかも交流した(京都)」などの報告から、全国イチの新型コロナ感染者数となった沖縄からは「戦没者の遺骨が残る場所を埋め立てようとする新基地建設を絶対に許さない。10月の総選挙では野党共通政策に初めて基地のことが加わり嬉しかった。仲間の業者青年から『民商と選挙はどんな関係があるの?』と声が寄せられ話し合い理解を深めた」という報告もされました。

静岡県青協からも7月に行った「インボイス 経営への影響は?」と題したオンライン学習会の様子を報告しました。

「インボイス」という言葉は、まだまだ中小業者に浸透しておらず、学習会に参加してもすぐには理解が難しい。県青協でも取り組み、その結果を民商青年部で共有し、民商青年部からの意見を再び県青協で取り上げたり、業者青年が求める情報を敏感にとらえ、今後も業者青年の要求に応えられる青年部づくりを頑張るとの決意と、その一環として11月24日には第2弾オンラインセミナー「何が違うの?個人事業と法人」を開催することも報告しました。

全国の業者青年と民商青年部の様々な報告と総会方針の結びつきを確認し、方針や新役員体制は全会一致で採択・確認されました。

組織拡大では、「昨年総会時より10人以上の部員実増で1割拡大」で沼津民商青年部、「昨年総会時現勢から2割以上の単純拡大で増勢」で沼津民商青年部と天竜民商青年部がそれぞれ表彰されました。

県青協としては昨年の全青協総会時現勢を突破しました。

静岡県青協は参加会場として清水民商会館を借り、準備で午前中から集まったメンバーで揃って昼食。久しぶりに顔を合わせ清水民商会員飲食店にお願いした昼食をお喋りしながら楽しみ、WEB開催ということで県青協幹事もオブザーバーとして視聴、計7人で賑やかに交流しながら総会参加しました。

最低賃金1,500円が意味するもの、様々な立場の労働者どうしコロナ禍での困難を交流

11月14日、静岡県労働組合評議会・パート臨時労組連絡会主催の「はたらくみんなの元気の出る集会」が開催され、県婦人部の川島文江会長が参加しました。

集会参加に先立ち、主催のパ臨連事務局長らから「様々な立場の労働者に加え、コロナで苦境に立つ中小業者の状況も話してもらい交流したい」とお話をいただいていました。

集会では川島会長含め8人がそれぞれの立場から報告。保健所や医療現場の働き方や大学生の現在について、そして浜松のタクシー運転手の方からは、「コロナでタクシー運賃だけでは暮らしが成り立たず、お店から顧客にタクシーで商品を届けるフードデリバリーを始めたが、市からの補助があった時は1件につき2,500円、補助がなくなったら800円になってしまい非常に苦しい」という報告がありました。

川島会長からは、この間の県内民商会員の「持続化給付金」など国の施策への申請状況から中小零細業者の売上の落ち込みなどを説明しました。そして飲食だけでなく人と触れ合う様々な業種と、ウッドショックや原油の高騰により製造や建設業者にも甚大な影響を与えていることを伝えました。

そしてそれ以上に深刻な川島会長自身の親しい業者についても「そもそも2019年の売上で所得として月18万円程だった業者が、コロナ禍で月10~15%の売上減になったが、国や自治体のあらゆる支援策から外れており、子どもを含めた家族の生活すら危うい状況にある。所得階級300万円未満の零細業者の多くが同じ状況に置かれ取り残されている」と報告しました。

こうした報告を踏まえ静岡労働研究所の多田事務局長は、静岡県の最低賃金引き上げによる経済波及効果についてお話されました。

「25歳単身でまともに生活するのには、24万6659円が必要。時給にすると1,419円(月173.8H)~1,644円(月150H=全労連要求)」という2015年の県評試算に基づき、最低賃金1500円の実現を求める根拠が説明されました。また、多田事務局長から「全国一律、最賃1500円実現のためには中小企業支援が欠かせない」とも訴えられました。

集会に参加した川島会長は「休憩時間、会場に参加していた数人から『業者は支援がたくさんあると思っていたけれど、本当に大変な人に届いていないことが良く分かった』、『私たち労働者と立場は一緒なのね』と声をかけられ、業者の現状が伝わり、最賃1500円を求める根拠も良くわかったので参加してよかった。大変なのは業者だけでなく労働者も、働く人すべてが大変ななか思いやり協力して運動していくことが大事だとよくわかった」と感想を語っています。