板倉教授は今年3月末に閉校した静大法科大学院から、今は静大の地域法実務実践センターで、法律実務教育の普及・拡大とその専門化・高度化を進めるため教鞭をとられています。
はじめに日常の研究やこの日の学習内容について、「経済の問題では割り切れない問題をどう捉えていくか」が大きなテーマであると話されました。
学習の冒頭は「GATT(関税及び貿易に関する一般協定)」/「WTO(世界貿易機関)」と地域経済統合の進展・・・。
初めから難しそうな題名で果たしてついていけるのか不安でしたが、短時間でとても簡潔でいて丁寧な説明をしてくれ、それぞれの成立の経緯と違いがよくわかりました。
以下は事務局長の自分メモ(忘れないように覚え書き、内容は間違いがある可能性あり・・・誤りは見つけ次第訂正します)
——————————————————————————
GATTは「自由・無差別・多角主義」を基本とし、特定の国だけでなくより多くの国との取引で、外国の人や企業を国内企業と同等に扱う対等な立場をめざした。
WTOは「貿易自由化・平準化・規律対象の拡大」で、GATT時代では聖域扱いだった農産物貿易の自由化を徹底的にすすめ、食品・製品の基準や安全基準を国際レベルで平準化し、国により厳しい基準を設ける場合は「詳細な根拠」を必要とし、『基準をゆるめない』ことに対する圧力まである。
そして元々貿易とは関係のない「知的所有権」まで、アメリカの要望によりルール設定がされ、その結果、途上国での安価なコピー製品が出回るようになった。
その後、グローバル化をめざしたWTO交渉の行き詰まりから地域単位でまとまって行く計画の中で、TPP、FTA、EPAが発生。
2017年、自国が優位に立つため、交渉を1体1の二国間の経済連携協定をめざしアメリカがTPP離脱。
アメリカが離脱したため焦った日本は、欧州連合との本格交渉をすすめ、2018年7月に「日欧EPA(日本・EU経済連携協定)」に署名、今年2019年2月1日に発効された。
日欧EPAは日本にとってインパクトがとても大きく、発効後の動きでは、対象期間の拡大(地方独立行政法人)、対象分野の拡大(都道府県、指定都市が運営する公営電気事業、中核市の設計・コンサル業務・鉄道分野の相互開放)
政府調達も含め、日本のいろいろな企業にEU企業が対等な条件で入ってくる。入札資格にも入っていく。
言語をはじめ様々なハードルも、本国の審査で認められている企業は、改めて他国で審査されない。アクセス(市場参入)が容易になる。
他国の企業への責任追及⇒ 国際法レベルで、相手国に対し規律を正すよう言えるが、一企業に対しては言えない。
こうした中での、これまでの種子法廃止、水道民営化の狙い。
多国籍企業(他国)にモノが言えるか?コントロールできるか?